ライド・ジャーニー

Barty
2026/02/26 14:49

瀬戸内海の陽光

日時:2025年11月21日
天候:晴れ
場所(詳細ではなくても結構です):玉野市・沼
乗っている自転車の種類:Marin Nicasio Custom SE(Cross Bike)
感想や伝えたいことなど

今からおよそ15年前、私はマウンテンバイクのカスタムから自転車生活を始めた。
当時、私の周りではロードバイクはまだ一般的ではなく、舗装路をマウンテンバイクでスピードを追い求める人がほとんどだった。
それからの15年間、私の自転車選びの基準は常に「速さ」だった。
マウンテンバイクからロードバイクへ、アルミフレームからカーボンフレームへ。
軽量化、そして空気抵抗の低減。
確かに、私は速くなった。
けれどその一方で、ライディングポジションはどんどん低くなり、道端の景色は、ただ横を高速で流れていくだけの存在になっていった。
いつの間にか私は、立ち止まって風景写真を一枚撮ることで、この区間の平均速度が下がってしまうのではないか、とまで気にするようになっていた。
そのとき、自分に問いかけた。
「なぜ、ゆっくり走って景色を見てはいけないんだろう?」
そうして私は、新しいスチールフレームの自転車を買った。
快適なジオメトリー、フラットバー、太いタイヤと広いサドル。
リアキャリアが標準装備されていて、さらにフロントキャリアとフロントバスケットも追加した。
時間の都合もあり、最初のバイクパッキングでは、以前ロードバイクで朝練に使っていたルートを選んだ。
市街地、河川敷、登り、下り、そして海岸線。
景色に恵まれた、バランスの良いルートだ。
走り始めてすぐ、スピードはこれまでよりずっと遅いと感じた。
でもその代わり、太ももからの抗議は明らかに減り、同じ時間を走っても心拍数は低かった。
「Strava」のセグメントを気にしなくていいというだけで、特定の区間で全力スプリントをする必要もなくなる。
青い山と海を、ただのんびりと眺めることができた。
スピードを追い求めないことで、もう一つ大きなメリットがあった。
より多くの装備を持ち出せるようになったのだ。
コンパクトなテーブルや椅子、バーナーだけでなく、一眼レフカメラやDJIの撮影機材も積める。
風景や自転車の写真を撮ること自体が、私にとっては大きな楽しみだった。
瀬戸内海の海辺に椅子を置き、冷たい風の中、陽だまりで温かいお茶を飲む。
その感覚は、これまで一度も味わったことのないものだった。
ロードバイクで高速のまま通り過ぎるのでもなく、車でほとんど何の消耗もなく辿り着くのとも違う。
その瞬間、私はバイクパッキングの「意味」を感じた。
スピードを気にしない。
パワーも数値も気にしない。
心臓と筋肉に、少しの休暇を与える。
風景をちゃんと見る。
風の音を感じる。
積んだ装備が、確かな満足感として返ってくる。
……少し話が逸れたかもしれない。
結局のところ、バイクパッキングをしているとき、私は何も考えていなかった。
それは、本当に頭の中を空っぽにするための旅だったのだから。

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